古物営業法では、古物営業の許可を受けられない人を「欠格事由」として定めていますが、その中に「成年被後見人」「被保佐人」という欠格事由があります。これらは成年後見制度において認知症・知的障がい・精神障がいなどで支援が必要とみなされた「被後見人」「被保佐人」「被補助人」という3類型の中のふたつをいいます。

成年被後見人とは判断能力を欠くとみなされる人で、被保佐人とは判断能力が著しく不十分な人をいい、被補助人とは判断能力が不十分な人をいいます。ですので被後見人が一番、程度が重いということです。

要するに判断能力を欠いたり、著しく不十分だと商売など法律行為を行うことが難しいために、そういう人は許可が受けられないようになっているわけです。

この成年後見制度は、平成12年から施行された新しい制度で、それ以前は、被後見人は「禁治産者」といい、被保佐人は「準禁治産者」と言っていました。

新しい成年後見制度のもとでは、被後見人や被保佐人、被補助人は法務局に登記されますが、それ以前の禁治産者や準禁治産者については市町村役場に記録が残っています。

しかし、被後見人や被保佐人などは、あくまで本人や親族などが家庭裁判所に申し立てて審判を受けて登記されないかぎり、そうであるかどうか第三者にはわかりません。つまり判断能力を欠いているかどうかわからないのです。

そこで、成年後見制度以前に禁治産者や準禁治産者でなかったかどうかも併せて調べる必要が出てきます。

古物商許可の申請の際に、添付する書類の中に、法務局からとる「登記されていないことの証明書」と市町村役場からとる「身分証明書」というのがあります。

もうおわかりだと思いますが、「登記されていないことの証明書」は被後見人や被保佐人として登記されていないことの証明になりますし、身分証明書は禁治産者や準禁治産者でないことの証明になるというわけです。そのために申請の際の添付資料として提出するよう要求されているのです。